海老蔵は市川團十郎になれば人間国宝になれるの?確実ではないが可能性は大!

  • 2022年5月13日
  • 2022年8月20日
  • 著名人

2020年に緊急事態宣言により延期になった市川海老蔵の團十郎襲名は、
2022年になってもまだいつになるのか決まらない中で、
市川海老蔵が、ゆくゆくは人間国宝になることが決まっているかのような記事が。
小林麻耶さんに糾弾されている現在の市川海老蔵が、
團十郎になれば人間国宝は確実なのか?
なぜ、人間国宝が確実視されるのか?
調べてみます。

市川團十郎になるには

市川団十郎家は江戸歌舞伎きっての名門であり、市川団十郎とはわが国を代表する歌舞伎役者が代々襲名する、いわば最高のブランドなのである。

日本経済新聞より

 

團十郎がすることが、その時代の歌舞伎のスタンダードになります。それほど市川團十郎というのは特別な存在なんです。(『海老蔵を見る、歌舞伎を見る』著者・中川右介氏)

smart FLASHより

歌舞伎にはたくさんの名跡と呼ばれる役者名があって、
それには

  • 市川〇〇
  • 松本〇〇
  • 中村〇〇
  • 嵐〇〇
  • 尾上〇〇
  • 片岡〇〇

などと聞けば、何となくお顔の浮かぶ役者さんたちがいますよね。
市川〇〇を名乗る家もたくさんあって、それぞれは屋号で区別することができます。
私も詳しくないのでよくわかりませんが、
名跡や屋号には格付けがあって、
とにかく市川團十郎家となっている成田屋が宗家
一番の名門です。
そうは言っても名門は他にもあり、歌舞伎は成田屋だけで成り立っているわけではなく、
名跡ごとの格付けはとても流動的なものです。

’13年4月にニューオープンした歌舞伎座は3ヵ月にわたり柿落とし興行を行った。合計して21演目が上演され、主役を張った役者は10人いる。
坂田藤十郎、尾上菊五郎(74歳)、片岡仁左衛門(73歳)、松本幸四郎(74歳)、中村吉右衛門(73歳)、中村梅玉(70歳)、坂東玉三郎(67歳)、坂東三津五郎(故人)、中村芝翫(当時は橋之助、51歳)、そして、海老蔵。
いずれも名門の一家の長である。海老蔵だけがかなり若いが、これも「市川宗家」がいかに特別かを物語る。
「なかでも菊五郎、幸四郎、仁左衛門、吉右衛門がいまのトップ4といえます。それに次ぐ存在として梅玉が上がってきました。一般的な知名度は4人に劣りますが、名門である中村歌右衛門家のトップになります。
もっとも、梅玉の格上げは十二代目市川團十郎、十八代目中村勘三郎が亡くなったことの影響も大きいでしょう」(中川氏)

2017年週刊現代より

海老蔵さんが團十郎になるには、自分や成田屋だけの話し合いで決まるわけではなく、
歌舞伎界全体の総意として、重鎮たちがよく協議して決めることになります。
團十郎を襲名するとなれば、名実ともに歌舞伎界のトップになるわけですから、
格付けの上でも、影響力の面でも、勢力図は大きく変わってくるのでしょうね。
それはえらいこっちゃ。
まあでも、すでに襲名することは決まっていて、
2020年にはコロナがなければしていたことなので、
歌舞伎界の総意としてすでに認められているのは確かなのでしょう。
そう思うとすごいことです!

人間国宝になるには

一方で人間国宝ってどうやってなるのか調べてみます。

重要文化財」のような歴史的、芸術的な価値があるものの、音楽などの文化や工芸技術のように形がない「わざ」を「重要無形文化財」といいます。人間国宝とは、この「重要無形文化財」に指定されている「わざ」を高度に体得・体現している人物を指しています。

株式会社ゴトー・マンより

歌舞伎は日本固有の演劇で、伝統芸能のひとつ。
1965年に重要無形文化財に指定されました。
歌舞伎は人間国宝の芸能分野のうちの一つです。
Wikipediaによると歴代の歌舞伎の人間国宝は、

  • 立役 – 三代目市川壽海、三代目市川左團次、八代目坂東三津五郎、八代目松本幸四郎 、二代目中村鴈治郎、十七代目中村勘三郎、二代目尾上松緑、十三代目片岡仁左衛門、十七代目市村羽左衞門、五代目中村富十郎、三代目中村鴈治郎、二代目中村吉右衛門、*七代目尾上菊五郎、*十五代目片岡仁左衛門(※七代目坂東三津五郎は「歌舞伎舞踊」の保持者として認定)
  • 女方 – 七代目尾上梅幸、六代目中村歌右衞門、四代目中村雀右衞門、七代目中村芝翫、*五代目坂東玉三郎
  • 老女役 – 三代目尾上多賀之丞
  • 脇役 – 六代目市川團之助、二代目中村又五郎、二代目片岡秀太郎、*六代目澤村田之助、*六代目中村東蔵
  • 竹本 – 五代目竹本雛太夫、*竹本葵太夫
  • 長唄 – 杵屋榮左衞門、二代目芳村五郎治、五代目松島壽三郎、*七代目鳥羽屋里長、杵屋淨貢(認定時は七代目杵屋巳太郎)
  • 囃子 – 十一代目田中傳左衞門、四代目望月朴清

そうか〜唄や囃子も文化財ですものね。
現在存命の歌舞伎役者(立役)は
七代目尾上菊五郎

寺島しのぶさんのお父さんです。
十五代目片岡仁左衛門

このお二人が人間国宝です。
やっぱり歌舞伎役者はみんなカッコイイなあ。

市川團十郎になれば人間国宝になれる?


市川團十郎になれば人間国宝になれるとは限らないようです。
なぜなら、歴代の歌舞伎の人間国宝の中に市川團十郎は入っていません。
人間国宝ができたのが1950年なので、
そのチャンスが有ったのは10代目から12代目までの3人ですが。
先代の12代目市川團十郎さんは39歳で團十郎を襲名し、人間国宝に有力視されていましたが、
50代で白血病になり、2013年に66歳で亡くなってしまったため、
それが叶わなかったとも言われています。
健康に舞台に立ち続けられていれば、人間国宝にはなった可能性が高かったと思うと、
13代目にはその期待がさらに高まるのも不思議ではありませんね。

市川海老蔵と人間国宝

海老蔵さんが人間国宝を意識していると思われてしまったのは、
2010年の海老蔵襲撃事件の時に、
お酒に酔って相手に「俺は人間国宝だぞ」と絡んだ
と報道されたためなのでしょう。
本人は会見で「そのようなことは言わない」と否定していましたが、
当時、素行の悪さはしばしば報じられていたため、
海老蔵ならそのくらい言いそう・・・
と、印象付けられてしまいました。
日本の伝統芸能をである歌舞伎の市川宗家である自覚はあるでしょうし、
心のなかでは人間国宝を意識して、それにふさわしい技を体得すべく精進するのは
素晴らしいことです。
日本の宝と呼ばれる日が来るまで、頑張って欲しいですね。

まとめ

市川海老蔵が團十郎を襲名したからと言って、必ずしも人間国宝になれるとはかぎらないが、
健康で舞台に立ち続け、芸を磨いていけば、可能性は大いにある。
ということが解りました。
誰しも若気の至りというものはありますから、
そろそろヤンチャするのはおしまいにして、
團十郎らしい振る舞いが身について行くのを期待します。
これからの活躍が楽しみです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。